【書評】麻雀力が目覚める打ち方

桜井会長は、最近は人生論の本を多く書かれているのですが、久しぶりに麻雀の戦術論について書かれた本がこちらです。

桜井会長こと桜井章一は勝負の世界では有名な人で、特に麻雀においては20年間無敗を誇っていました。引退後は弟子 の育成もおこなっており、過去、何人もの弟子が麻雀最強位戦に出場して優勝をしています。現最強位であるサイバーエージェント社の藤田社長もかって、桜井会長の元で麻雀を学んでいました。桜井会長は、麻雀が強いのは勿論なのですが、麻雀の持つ偶然性を大事にしているところが普通の人には理解しづらいところであり、面白いところでもあります。世間では雀鬼流と呼ばれていて、その是非は麻雀界において常に議論されています。

さらば面前主義、プロでもできない驚きの鳴き

ここでは、普通の人がアッと驚くような鳴きの数々が例をあげて説明されています。
  • 混一色が好まれるので、字牌と端牌を残しながら他の面子のタネを切っていきます。
  • ①②③とあるところから②③で④を鳴いてタンヤオを狙っていきます。
この鳴きの背景には会長の大事な考え方があります。
みなさんは目の前の手牌だけを見てアガろうとしますが、アガれなくても、いい形のリャンシャンテン、イーシャンテンを目指す人の方が結局は勝つのです。
麻雀に限らず何事においても、何かが起きたときは必ず要因があるのです。それは近くにある場合もあるし、ずいぶん離れていることもあります。
通常はアガればいいという考え方が普通ですが、会長の場合は半荘全体を見据えた考えた方をしています。また、人にはわかりづらい因果を見据えての言動が実に会長らしいところです。出来メンツからの鳴きについて、私は考えたことがなかったので、非常に勉強になりました。

結果に一喜一憂しない、リーチかダマか

麻雀は先にすすまないといけません。テンパイからリーチ、リーチからツモ、ツモから一発や裏ドラと、麻雀は進めていくものなのです。
通常だと、少し高いとリーチせずにダマであがってやろうというのがセオリーですが、先を見据えた考え方がここにも見てとれます。

このように具体例を出しながら、一局一局の損得だけを考えた麻雀ではなく、全体の因果を捉えた麻雀観を話してくれます。そのため状況によってはフリコミにも価値をおきますし、テンパイしていない状況での字牌の切り出しが禁止されています。これは両方とも麻雀という場を作り出すために決められていることです。そういった麻雀の打ち方を通して、打ち手の人格を語るのも会長の特徴です。ドラの字牌を鳴かせてしまって、自分はさっさとオリる人は、麻雀のウデだけではなくて人格面もどうなのと疑問を呈しています。そういうケースの場合、麻雀をあまりわかってないだけの場合もありますが、その人の本質的なズルさがそういうところで見え隠れすることもあるなと私は経験上、感じています。このよう感じでこの本では、麻雀の戦術論、人生論、偶然性などについて学ぶことができます。

最後に、この本で一番、気になった質問と回答の一部をのせます。
裏ドラはどうやって読むのですか?
おそらくあなたには読めません。麻雀には必然性と偶然性が入り混じっており、偶然性を読むことは至難の業です。これを身につけるためには、重厚な麻雀実戦体験や分析力が必要だし、さらには予知能力も必要です。本当の麻雀の必勝法を追求するなら、絶対にこの予知能力が必要になってきます。
この能力は野生の動物は持っている能力ですし、かっては人間も持っていた能力だそうです。普段の生活と麻雀を通して、こういった能力を呼び起こすことができれば普段の生活は一段と違ったものになるのかもしれません。

桜井会長と雀鬼流に興味を持った方は、是非読んでみて下さい。

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