【書評】明暗(恋愛小説です)

明暗を書いたのは、夏目漱石という方です。書かれたのは1916年なので、およそ100年前の話になります。夏目漱石というと、千円札の人、坊ちゃん、教科書に名前が書かれている人というイメージだと思います。ただ、そこから想像されるイメージだと堅苦しいので、なかなか多くの人に興味を持ってもらえないと思います。でも夏目漱石は恋愛小説も書いており、それはいま読んでも面白いんだということを伝えたいと思います。

物語はある夫婦の主人の話が主題となっています。その男は由雄といい年齢は30歳です。一応、働いてはいるのですが、夫婦揃ってお金にだらしがないので、結婚してからも親から仕送りをしてもらっています。 2015年の現在でも十分に通じる設定です。漱石さん、流石です!そういった環境のせいもあるせいか、由雄は常に心にちょっとした不満を抱えています。夫婦関係、友人関係、家族関係など不満は様々です。由雄は人を小馬鹿にしがちな性格です。でも、そういった生活も長くは続きません。生活態度を見かねた周りの人が、由雄に説教を始めます。そして、問題の原因は由雄が昔、付き合っていた清子への未練にあるのではと問い詰めます。事実、由雄は夢に清子が出てくるほど、未練がありました。彼女はなぜ、俺の元にいないんだ。なぜ、彼女は他の家に嫁ぎ、俺は別の女と結婚したんだ。未練たらたらです。それを解決するには、由雄が清子に会って解決するしかありません。ということで周りの勧めもあって、由雄は清子に会いに行きます。
由雄は会いに行く道中もこんなことを考えています。
別れた理由なんか知らないまま、清子さんを思い続けているのが幸せかもしれない。あの頃のまま。美しい夢のまま。清子さんに背を向けられてから、途切れてしまった俺の夢。夢の終わりを見るために、夢の続きをたどる必要があるのか。
こんな感じで、いかにフワフワしているかがわかります。繰り返しますが、これが100年前の文学なんです。男が未練がましいのは、今も昔も変わりません。 この小説を読んで私は、明治の人に親近感が湧きましたし、恋愛はいつの時代も変わらないもんだなと思いました。男女がいて、別れがあって、男は元彼女を想い続け、今の彼女は元彼女に嫉妬する。私も周りでそういった話を聞いたとがあります。100年たっても色褪せることのない人間ドラマを、是非、楽しんでもらえればと思います。

【書評】マーケット感覚を身につけよう(4)

成功の鍵は市場の選択

ちきりんさんは、何かで成功するためには「市場の選択」が重要だと説いており、婚活を例に出して説明しています。
20代で、見かけも性格もよく、学歴と年収が低い男性は、どこで結婚相手を探すべきでしょうか?
 選択肢はいくつかあると思います。

  • 街コン
  • 結婚情報サービス
  • 友人の紹介
ちきりんさんは、街コンか友人の紹介を選択すべきだと回答していますし、私もそう思います。大して社会ステータスを持っていないならば、結婚情報サービスに登録する意味は少ないし、自分の外見とトーク力を発揮できる街コンの方がベターに思えるからです。結婚情報サービスに登録している人は、条件を気にしている人が多そうですし、また検索画面を利用して年収で絞っていることが容易に想像できます。しかし自然な出会いの場合には、そういった社会ステータスを気にする人ばかりではありません。

しかし、以前にテレビに出演していた男性は結婚情報サービスに登録して、200人もの女性に会うことを断られたそうです。自分のよさをアピールできる機会がもっとも少ない場所で口説こうとしたためです。

「どうやったら彼女ができる?」という質問に対して多くの人はこんな感じで応えます。
  • 収入をあげなさい。
  • かっこよく、お洒落になりなさい。
  • 話を盛り上げなさい。
  • 優しくなりなさい。
どれもこれも決して間違ってはいないのですが、その前に自分のよさを発揮できる場所を選択するのが必須条件です。社会的ステータスが高い人は結婚相談所へ、話が面白い人は街コンへということです。

市場選びの大切さはわかってもらえたでしょうか。私の場合は、自分のよさを発揮するためには、婚活市場を日本だけに絞る必要すらないと思っています。例えば、フィリピンに行けば日本人というだけで価値が上がります。フィリピン人女性に対しては、日本人と結婚することで下記のメリットが加わります。
  • 結婚すれば日本のVISAが手に入る。
  • 日本人の給与は、フィリピン人からすれば高い。
日本人男性は、こうして下駄をはかせてもらった上で、女性を口説くことができます。それでもさらに価値をつけたいならば、ファッションセンスとかを意識すればいいのです。日本人であるメリットに気付き、そしてそれを利用すること、これも立派なマーケット感覚だと私は思いました。

【書評】麻雀力が目覚める打ち方

桜井会長は、最近は人生論の本を多く書かれているのですが、久しぶりに麻雀の戦術論について書かれた本がこちらです。

桜井会長こと桜井章一は勝負の世界では有名な人で、特に麻雀においては20年間無敗を誇っていました。引退後は弟子 の育成もおこなっており、過去、何人もの弟子が麻雀最強位戦に出場して優勝をしています。現最強位であるサイバーエージェント社の藤田社長もかって、桜井会長の元で麻雀を学んでいました。桜井会長は、麻雀が強いのは勿論なのですが、麻雀の持つ偶然性を大事にしているところが普通の人には理解しづらいところであり、面白いところでもあります。世間では雀鬼流と呼ばれていて、その是非は麻雀界において常に議論されています。

さらば面前主義、プロでもできない驚きの鳴き

ここでは、普通の人がアッと驚くような鳴きの数々が例をあげて説明されています。
  • 混一色が好まれるので、字牌と端牌を残しながら他の面子のタネを切っていきます。
  • ①②③とあるところから②③で④を鳴いてタンヤオを狙っていきます。
この鳴きの背景には会長の大事な考え方があります。
みなさんは目の前の手牌だけを見てアガろうとしますが、アガれなくても、いい形のリャンシャンテン、イーシャンテンを目指す人の方が結局は勝つのです。
麻雀に限らず何事においても、何かが起きたときは必ず要因があるのです。それは近くにある場合もあるし、ずいぶん離れていることもあります。
通常はアガればいいという考え方が普通ですが、会長の場合は半荘全体を見据えた考えた方をしています。また、人にはわかりづらい因果を見据えての言動が実に会長らしいところです。出来メンツからの鳴きについて、私は考えたことがなかったので、非常に勉強になりました。

結果に一喜一憂しない、リーチかダマか

麻雀は先にすすまないといけません。テンパイからリーチ、リーチからツモ、ツモから一発や裏ドラと、麻雀は進めていくものなのです。
通常だと、少し高いとリーチせずにダマであがってやろうというのがセオリーですが、先を見据えた考え方がここにも見てとれます。

このように具体例を出しながら、一局一局の損得だけを考えた麻雀ではなく、全体の因果を捉えた麻雀観を話してくれます。そのため状況によってはフリコミにも価値をおきますし、テンパイしていない状況での字牌の切り出しが禁止されています。これは両方とも麻雀という場を作り出すために決められていることです。そういった麻雀の打ち方を通して、打ち手の人格を語るのも会長の特徴です。ドラの字牌を鳴かせてしまって、自分はさっさとオリる人は、麻雀のウデだけではなくて人格面もどうなのと疑問を呈しています。そういうケースの場合、麻雀をあまりわかってないだけの場合もありますが、その人の本質的なズルさがそういうところで見え隠れすることもあるなと私は経験上、感じています。このよう感じでこの本では、麻雀の戦術論、人生論、偶然性などについて学ぶことができます。

最後に、この本で一番、気になった質問と回答の一部をのせます。
裏ドラはどうやって読むのですか?
おそらくあなたには読めません。麻雀には必然性と偶然性が入り混じっており、偶然性を読むことは至難の業です。これを身につけるためには、重厚な麻雀実戦体験や分析力が必要だし、さらには予知能力も必要です。本当の麻雀の必勝法を追求するなら、絶対にこの予知能力が必要になってきます。
この能力は野生の動物は持っている能力ですし、かっては人間も持っていた能力だそうです。普段の生活と麻雀を通して、こういった能力を呼び起こすことができれば普段の生活は一段と違ったものになるのかもしれません。

桜井会長と雀鬼流に興味を持った方は、是非読んでみて下さい。