フィリピンでは思いやりを循環させて、日本はお金を循環させる

フィリピン社会と日本社会について大きく異なる点について書きたいと思います。その内容とは、「フィリピン社会は思いやり循環社会」であり、日本は「お金循環社会」であるということです。フィリピン人と話したことがある人は、フィリピン人の家族や親族に対する献身の強さに驚いたことが一度はあると思います。ここにあげるのは、ほんの一例です。
  • 兄弟のために、大学の学費を払っている。(20台前半の女性)
  • 一家の大黒柱(20台前半の女性)
  • 親戚の叔父さんが姪の大学の学費を払っている。
フィリピンでは親族を金銭面で支えることは、ごく当たり前のように行われます。見方を変えると、税金で引かれる分が少ないので、個人個人は自分のお金の使い途を選択することができます。親を支援してもいいし、兄弟を支援してもいい。他の親族でもいいわけです。その代わりにといっては何ですが、その本人は周りから尊敬されるし、頼られます。このような社会の在り方について長所と短所を書いてみます。
長所
  • 親族同士の人間関係の結びつきが強くなる。
  • 支えている人は強く尊厳を得られる。
  • 受益者は支えられている(見捨てられていない)と感じやすい。
  • お金を稼いでいる人の立場が強くなるので、世代交代が進みやすい。
短所
  • 親族の和から外れると支援が受けられない。
  • お金の支援が十分に行き渡らないことがある。
  • 受益者はお金を貰うことに引け目を感じることになる。
では、次に日本社会について見ていきます。日本社会では親から学生の子供に対する支援が一般的で、それ以外はあまりないように見えています。でも、実際にはそれだけとは言い切れません。なぜなら、日本ではサラリーマンが税金で天引きされている金額が多いからです。それは国を通して親の世代に還元されているので、子供が間接的に親に仕送りを送っていることになります。その社会についても長所と短所を書き出してみます。
長所
  • 受益者は、お金を貰うことに引け目を感じる必要がない。
  • 基本的には誰でも平等に支援を受けられる。親族の和から外れていても関係ない。
短所
  • 支えている人は、何も恩恵を得られない。親世代から「毎月、社会保険をいただいてありがとう」などと声をかけられることなんてありませんよね?
  • 受益者は、本来はみんなから支えられているにも関わらず、支えられている気がしない。むしろ見捨てられている気がする。
  • 親の世代の力が持続しやすく、世代交代が進みづらい。
  • 変に威張った、引き際がわからない老人が多くなる。
こういう話をしていると社会保障費は賦課方式で、親世代は祖父母世代を支えていたから、お互い様という話も出てくるかと思います。それはそれで間違ってはいないのですが、昔と今では社会保険料は大幅に変わっています。(私は専門家ではないので概算です。)

給料に対して年金を払う料率
2016年;18% 1980年;10.6%
給料に対して健康保険を払う料率
2016年;10% 1980年;8%

これを元に計算すると、仮に会社が570万円を従業員に払おうとした場合、2016年と1980年を比較すると、従業員に入ってくるお金は年間で20万円ほど下がっています。その20万円は国に徴収されて、それが親世代へと流れています。
この20万円は、30年前なら子供が自由に使えていたお金だし、自由に親世代のためにも使えていたお金です。月に2万円を子が親に仕送りするだけで、親子関係や世代関係はかなり変わってきます。
これは今の日本社会において、一つの病巣の原因になって、フィリピン式にすれば下記の問題が解決します。
  • 威張った問題の多い老人が増えている
    →老人が謙虚になる
  • 家族の関係が疎遠になっている
    →人間関係が密接になる
  • 低収入の若者が増えている
    →若者の収入が増える 
  • 親に頼っている若者が多い
    →若者が独立する。 

日本社会とフィリピン社会のお金のやりとりについて見比べた場合、どちらがいいと思いますか?私は圧倒的にフィリピン社会の方が好きですし、それは私が老人になった時でも変わらないと思います。

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